インフルエンザワクチン接種に関して
- Q1インフルエンザワクチン接種の対象は何歳からですか?
- A1生後6か月以降のお子さんが対象になります。
- Q2予防接種の効果はどのくらいですか?
- A2厚生労働省による国内での研究では2013年から2017年のシーズン5年間で検討を行い、6歳未満のこどもでの2回接種の発症予防に対する有効率を41~63%と報告しています。
死亡率に関しては2017年にアメリカからワクチン接種の小児のインフルエンザによる死亡予防効果は65%との報告が出ています。
接種すれば100%発症を防げるわけではありませんが、インフルエンザで苦しむお子さんが半分程度に減少する可能性を考えると接種をお勧めしたいと考えています。 - Q3予防接種の効果はどのくらい持続しますか?
- A3インフルエンザワクチンによる感染予防効果の持続期間は接種完了後2週間後から約5か月間と言われています。
- Q4接種スケジュールはどうすれば良いですか?
- A4毎年10月から遅くとも12月上旬までにワクチン接種を行うことが推奨されています。
13歳までのお子さんは3~4週間あけて2回接種、13歳以上のお子さんは1回接種です。
*1回目接種が12歳で、2回目接種が13歳の誕生日以降になる場合には2回接種を行います。 - Q5予防接種前にインフルエンザA(もしくはB)にり患しましたが接種は必要ですか?
- A5インフルエンザワクチンはそのシーズンに流行しそうなインフルエンザAとBのウイルスに対する免疫力がつくように作られています。そのため、仮に直前にインフルエンザAにり患したとしてもインフルエンザBに対する免疫力が付くという効果は残ります。
接種券が使用できる期間には限りがあるため、り患する月によっても状況は変わりますが、予防接種前にインフルエンザにり患した場合には、体調の回復の様子を見ながら1か月程度空けて予防接種を始めるのがよいのではないかと考えています。
接種回数はインフルエンザにり患したかどうかに関わらずにQ4の通りに行います。 - Q6ほかのワクチンと同時にインフルエンザワクチンを接種することは可能ですか?
- A6基本的にどのワクチンとの同時接種も可能ですが、例外としてBCGとの同時接種には対応できません。また1歳になったら行う予防接種(肺炎球菌、ヒブ、水痘、おたふくかぜ、麻しん風しんワクチン)にインフルエンザワクチンを追加すると同時に6本予防接種を打つことになり、接種部位の確保などに困難を生じるためにそれも対応できません。
- Q7インフルエンザワクチンの副作用で熱が出る割合はどのくらいですか?
- A7インフルエンザの市販後調査結果では発熱の頻度は3.6%と報告されており、年齢が低くなるほど低率になる傾向がありました。
- Q8インフルエンザワクチンの接種費用はどのくらいですか?
- A82024年度のインフルエンザワクチン接種は1回4,500円です。
港区の接種券をお持ちのお子さんでは自己負担は発生しません。 - Q9保護者も一緒にインフルエンザワクチンの接種を受けることは可能ですか?
- A9保護者の方も予約枠を取得してもらえば接種は可能です。
保護者の方のインフルエンザワクチン接種費用は1回4,500円です。クレジット決済も可能です。 - Q10高校生ですが1人でインフルエンザワクチンの接種を受けることは可能ですか?
- A1018歳未満の未成年のお子さんには必ず保護者の方の付き添いをお願いしています。
未成年のお子さんが1人で来院された場合には予約はキャンセル扱いにさせていただきます。 - Q11インフルエンザワクチンの接種と同時に保湿剤の処方も受けることは可能ですか?
- A11予防接種と同時に保険診療を行うことは原則できません。
そのため、ワクチン接種と同時に保湿剤を処方することはできません。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)ワクチン
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)とは
流行性耳下腺炎はムンプスウイルスによる感染症で、片側の耳下腺(ほっぺた)の腫れから始まり、1~2日後に反対側も腫れてきます。主な症状はほっぺたの腫れと痛みであり、症状のピークは発症3日目前後です。その他の症状としては38℃前後の発熱、頭痛、倦怠感などがあります。頻度は多くはありませんが、腹痛、嘔吐や男の子であれば陰嚢痛が起こる場合があります。 合併症として無菌性髄膜炎(1~10%)、精巣炎(思春期以降で罹患した場合は20~40%)、難聴(0.1~0.25%)があります。無菌性髄膜炎は多くは入院安静で後遺症なく軽快しますが、精巣炎を起こすと程度に個人差はありますが精子数の減少が起こります。また難聴は原則片方の耳で起こりますが、永続的で回復しないとされています。この難聴は以前は珍しいと言われていましたが、現在は0.25%程度と決して無視できない頻度が報告されています。
予防接種の効果
2回接種による感染防御効果は75~91%とされています。
定期接種化している国では流行性耳下腺炎排除宣言が出されているところもありますが、日本では残念ながら、定期接種ではないため毎年たくさんのお子さんが罹患しています。
ワクチンの副作用として無菌性髄膜炎が有名ですが、自然に流行性耳下腺炎に罹患した場合は1~10%、ワクチンでは0.03~0.06%とワクチンの方が高いわけではありません。
小学校入学前におたふくかぜワクチンを接種しましょう!
最近の研究では
2024年1月に「おたふくかぜワクチン接種後の副反応に関する全国調査報告」が日本小児科学会雑誌で報告されました。おたふくかぜワクチン接種後8週間追跡できた子どもたち58,783人を調査対象におたふくかぜワクチンと因果関係が証明された7人を含む12人で髄膜炎・脳炎が報告され、頻度としては0.020%でした。因果関係が証明された7人は全員が、1歳の初回接種後のお子さんで、ワクチン接種後14日から30日後に発熱、痙攣、嘔吐症状を発症して入院していました。
研究結果を踏まえて、もちろん副反応は無視できないことは再認識されましたが、やはり自然に罹患する場合の難聴や髄膜炎のリスクを考えると接種をおすすめしたいと考えています。
接種スケジュール
1回目は1歳を過ぎたら早期に、2回目は就学前の5歳以上7歳未満のMRワクチンと同時期に接種することをお勧めします
3種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳)ワクチン/ポリオワクチン
就学前後に百日咳抗体価が低下し、小学生でも流行が定期的にみられること(下のグラフ参照)を受けて、また今後の流行に備え、ポリオに対する抗体価低下前の追加接種が推奨されています。
百日咳は百日咳菌による感染症で経過は3つの時期に分かれます。
- カタル期(最初の1~2週間くらい):通常7~10日間程度の潜伏期間を経て、普通のかぜと同じ咳症状で始まり、次第に咳の回数が増えて悪化していきます。
- 痙咳期(最初のかぜ症状の時期の後2週間くらい):次第に連続的に咳き込むようになり、小さいお子さんでは咳き込み嘔吐を伴うこともあります。典型的には連続的な咳き込みで顔を真っ赤にする様子が見られます。
- 回復期(最後の2週間くらい):激しい咳の発作は次第に改善していきます、この頃になると周囲への感染性が減少し、合計1~2カ月の経過で回復します。
百日咳菌に対する抗菌薬治療は可能ですが、治療効果は発症早期に高く、典型的な症状が出てくる時期には落ちてしまいます。ただ、発症早期は普通の風邪と見分けるのが困難なため、治療開始が遅れ、咳症状が長く続くことが多くみられます。
咳症状が強い病気ですが、乳児期早期の赤ちゃんが罹患すると特徴的な咳がなく、呼吸を止めてしまう無呼吸と呼ばれる症状などで集中治療が必要になる場合もあります。
兄弟に生後6か月までのお子さんがいる場合にはぜひお兄ちゃん、お姉ちゃんがかからないように予防接種をお勧めします。
接種スケジュール
就学前接種は5歳以上7歳未満が推奨接種時期になります。
- MR、おたふくかぜ、3種混合、ポリオワクチンは同時接種も可能です
おたふくかぜ7,000円、3種混合6,000円、ポリオワクチン8,000円