急性中耳炎

急性中耳炎

急性中耳炎のイメージ画像

この病気は、主に 2歳以下のお子さんに好発する耳の中の感染症です
80%のお子さんが3歳までに一度はかかると言われている病気で、風邪をひいたときに熱が長引く原因になります。
耳と喉は細い管でつながっていて、普段は耳の中の分泌物などの排出が行われています。
風邪をひくと喉や耳の粘膜がむくみ、その細い管が詰まってしまい、耳の中に液体がたまります。
そこに細菌が繁殖することにより中耳炎が起こります。
2歳までは特に耳から喉への管が細く詰まりやすいと言われています。

主な症状

多くは急性上気道炎(風邪)に合併するため、咳、鼻水などの一般的な風邪症状に加え、 発熱、耳痛、不機嫌、嘔吐などの症状がみられます。

治療

症状に応じて抗菌薬の内服を行います、当院では日本や米国診療ガイドラインの第1ないし第2選択薬である。
アモキシシリン(ワイドシリン@)、アモキシシリン・クラブラン散(クラバモックス@)以外の抗菌薬は原則使用しません(当該薬剤に対する強いアレルギーなどの既往がある場合など特殊なケースのみ他剤を検討します)

*耳鼻咽喉科、小児科で中耳炎に対して頻用されるピボキシル基含有抗菌薬(フロモックス、メイアクト、トミロン、オラペネム@)服用による低カルニチン血症とその結果生じる低血糖症の誘発リスクに関して、2012 年に日本小児科学会から注意喚起が発出されています。またWHOによる耐性菌対策としての抗菌薬適正使用リストでも第1選択薬になっていないため、当院で処方することは原則ありません。

*軽症中耳炎の多くはウイルス感染が原因のため、抗菌薬(抗生物質)は効果がありません 抗菌薬によって腸内細菌のバランスが崩れて起きる下痢の症状が出たり、長期的には耐性菌(抗菌薬が効かない細菌)が出てくる原因となるため、2歳未満のお子さんや両側性中耳炎、発熱期間が3日以上などの症状や治りにくさを加味して一部の中耳炎にのみ抗菌薬の処方を行います(2歳以上の片側中耳炎ではたとえ痛みを訴えていても抗菌薬の適応になることはまれです。抗菌薬内服による耳痛緩和効果はない、もしくはわずかという研究結果があり、2024年急性中耳炎診療ガイドラインでも採用されています)

抗菌薬による治療期間は2歳以下のお子さんは10日間、2歳以上のお子さんは7日間です。
(当院では米国診療ガイドラインの基準を採用しています)
症状が強くない場合には解熱鎮痛薬による対症療法を行い、経過を見ていきます。
内服薬による治療と並行して鼻水の吸引処置を行う場合があります。

治療開始後2~3日後に再診をして頂き、治療効果をみます。 順調であれば2~3日で解熱傾向になるため、そのまま内服を続けて飲み切り終了にします。

反復性中耳炎

中耳炎を短期間に繰り返す反復性中耳炎(6か月以内に3回ないし12か月以内に4回以上急性中耳炎に罹患)では中耳炎の回数を減らす効果が報告されている漢方薬を3か月間を目安に内服していただく場合があります。

上記治療は小児急性中耳炎診療ガイドライン2024年版にも採用されている治療選択肢であり、下の図に示すようにControl(漢方薬内服なし)とJTT(十全大補湯内服あり)を比較すると、十全大補湯を内服していたグループの方が3か月間で約1回分中耳炎になる回数が低下し、それに合わせて抗菌薬内服の回数も少なくて済みました。3か月間の十全大補湯内服で際立った副作用の報告はありませんでした。東洋医学の考え方の中に補剤というジャンルの漢方薬があり、十全大補湯も含まれます。集団保育などで頻回にウイルス感染にさらされ感冒症状反復して体力や免疫力が落ちてしまったところを「補って」底上げしてくれる漢方薬と考えてください。下の真ん中の図にあるように感冒症状が出る頻度も併せて減少しています。

反復性中耳炎の図
Randomized controlled trial of juzen-taiho-to in children with recurrent acute otitis media.
Ito M, Maruyama Y, Yoshizaki T. Auris Nasus Larynx. 2017 Aug;44(4):390-397. より引用

再診の目安

抗菌薬治療開始後2~3日後に再診の予約を入れて、経過を診させていただきます。

〒108-0023
東京都港区芝浦3丁目13-11 Medical Square芝浦2F

院長
高瀬 亮
診療科目
小児科
最寄駅
  • JR田町駅より徒歩4
  • 都営三田線・浅草線「三田駅」より徒歩5
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診療時間
8:30~12:30
一般診療
14:00~16:00
乳児健診・予防接種
16:00~18:00
一般診療
〇:二診体制(院長・副院長)
:一診体制(院長)
:日曜日は一般診療のみ(一診体制:院長)
月~木(14:00~16:00):乳児健診・予防接種
休診日
金曜日午後、土曜日、祝日