RSウイルスは、主に 乳幼児のお子さんに気管支炎、肺炎を起こすウイルスです。
以前は秋から冬に流行する傾向がありましたが、現在は5~8月の夏場に流行しています。
1歳までに50%のお子さんが、2歳までにほぼ100%お子さんが一度はかかると言われている病気で、免疫力が付きにくく毎年再感染を繰り返すことも珍しくありません。
80%のお子さんは2~3歳までに2回目の感染を経験します。
主な症状
症状としては鼻水・咳から始まり、徐々に鼻水が増加して咳も痰がらみになっていきます。経過中に発熱し、経験的に発熱4~5日目の夜間から明け方にかけてゼイゼイ、ゴロゴロした咳がピークを迎えることが多くみられます。一部、特に0~2歳のお子さんはRSウイルスによる喘息性気管支炎(喘息発作のようなゼイゼイした呼吸をする気管支炎)に進行します。
喘息性気管支炎(*暫定的につける病名です)
ウイルスによる気管支炎にかかっても分泌物や粘膜の腫れにより気管支という空気の通り道がせまくなり、喘息発作とほぼ同じような呼吸の音が聴診器で聞こえます。診察だけでは単純なウイルス性気管支炎でゼイゼイしているのか、風邪をひいたことがきっかけで起きた気管支喘息発作なのかは見分けがつきません。ウイルス性気管支炎にはあまり有効な内服薬がないため、治療可能な喘息発作の可能性を考慮して、気管支を広げる貼り薬や吸入、炎症を抑えるステロイド薬を使用して経過を見ていきます。
このようなゼイゼイする気管支炎を3回繰り返し、喘息発作治療に反応する場合には気管支喘息と診断して普段から気管支喘息としてのコントロール治療を開始します。
潜伏期間
2~8日間で、通常4~6日程度で発症します。
治療
適宜鼻水の吸引を行い、解熱剤と原則対症療法で経過を見ていきます。
鼻水吸引は効果的なため、自宅での継続もお勧めします。
喘鳴を伴う気管支炎に進展した場合には喘息に準じた吸入薬とステロイド薬内服が有効な場合があります。
解熱し、咳と鼻水の症状が改善していれば登園、通学は可能です。
再診の目安
乳児期にり患した場合や喘息性気管支炎に進展した場合には治療効果判定や鼻汁吸引のために2日毎に再診をお願いすることがあります。
ヒトメタニューモウイルス
ヒトメタニューモウイルスはRSウイルスに似た特徴を持ったウイルスですが、RSウイルスよりもやや年齢が高いお子さんで気管支炎などを起こしやすく、また発熱期間も長い傾向があります。潜伏期間は3~6日で、咳や鼻水から始まり、経過中に発熱して長い場合には1週間程度38度以上の発熱が持続します。熱は他のウイルス感染と同様に日中は低めで夜間に高熱になる経過が一般的です。合併症としては気管支炎、肺炎球菌、中耳炎がありますが、一部の中耳炎を合併した場合を除き、対症療法が基本になります。