エンテロウイルス感染症
夏に数回感染することも多いため、発疹などが出た場合にはご相談ください。
エンテロウイルスはヘルパンギーナや手足口病などの主に夏の感染症を起こすウイルスです。ギリシャ語やラテン語で「腸」を意味するエンテロという呼び名がついており、その名の通り腸管内で増殖して全身に多彩な症状を引き起こします。
エンテロウイルスは分類上100種類以上が存在し、毎年夏のシーズンに複数種類が流行するため、毎月のように連続して感染することも珍しくありません。典型的な症状や発疹の分布を示す下に記載する特別な診断名が付かないタイプの割合の方が多く、発熱、咳、鼻水、発疹や嘔吐、下痢症状を呈する急性上気道炎、ウイルス性発疹症、下痢症、胃腸炎タイプを呈することが多くみられます。
毎年5月中下旬頃から感染が始まり、7月頃にピークを迎えて、夏休みが終わる頃には終息する感染症です。いわゆる夏風邪の60%くらいを占めると言われ、熱性けいれんを起こしやすいウイルスとして知られています。 手足口病とヘルパンギーナは同じエンテロウイルスというグループに属するウイルスによる感染症であり、登園許可基準(解熱し、食欲が改善していれば登園は可能です)も同じためあまり区別する必要性はありません。
ヘルパンギーナ
高熱と咽頭痛が主な症状です。口の中やのどに多数のアフタ(口内炎の様なもの、浅い潰瘍)が出来てしまい、これが痛みの原因になります。2~4日間程度で解熱し、それにやや遅れてアフタも治っていきます。
手足口病
口の粘膜や歯茎、手のひら、足の裏などに2~3mmの水疱性発疹が出現します。時におしりにも発疹ができます。口の中にアフタが出来るため、口を痛がったり、不機嫌になったりします。ヘルパンギーナと比較して熱は出にくく、発熱は3人に1人程度で、多くのお子さんは38℃以下で経過します。通常は3~7日の経過で発疹が消えていきます。
手足口病にかかった後1~2か月して爪が剥がれる、変形することが報告されています。100種類以上いるエンテロウイルスの中でもコクサッキーウイルスA6型が流行した時に多いようです。基本的には経過観察のみで新しい爪が生えてきますが、変形を残してしまう可能性もあります。
発熱初日に口の中やのどに複数のアフタ(口内炎の様なもの、浅い潰瘍)が出来てしまい、翌日から手足や体に発疹が出るパターンでは暫定ヘルパンギーナと診断し、後日手足口病と訂正する場合があります(ヘルパンギーナも発疹は出るため、手のひらや足の裏に発疹が目立つ場合のみ手足口病の診断名を優先します)
潜伏期間
3~6日間
治療
原則対症療法を行います、痛みや熱に対して、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)を使用します。
解熱し、咳、鼻水、嘔吐、下痢の症状や食欲が改善していれば登園は可能です。
(B保護者記入による登園届が必要です)
合併症
熱性けいれん→高熱になりやすく、痙攣を起こしやすいウイルスとして知られています。