エンテロウイルス感染症
エンテロウイルスはヘルパンギーナや手足口病などの主に夏の感染症を起こすウイルスです。毎年5月中下旬頃から感染が始まり、7月頃にピークを迎えて、夏休みが終わるころには終息する感染症です。いわゆる夏風邪の60%くらいを占めると言われ、熱性けいれんを起こしやすいウイルスとして知られています。
ヘルパンギーナ
高熱と咽頭痛が主な症状です。口の中やのどに多数のアフタ(口内炎の様なもの、浅い潰瘍)が出来てしまい、これが痛みの原因になります。2~4日間程度で解熱し、それにやや遅れてアフタも治っていきます。
手足口病
口の粘膜や歯茎、手のひら、足の裏などに2~3mmの水疱性発疹が出現します。時におしりにも発疹ができます。口の中にアフタが出来るため、口を痛がったり、不機嫌になったりします。ヘルパンギーナと比較して熱は出にくく、発熱は3人に1人程度で、多くのお子さんは38℃以下で経過します。通常は3~7日の経過で発疹が消えていきます。
手足口病にかかった後1~2か月して爪が剥がれる、変形することが報告されています。100種類以上いるエンテロウイルスの中でもコクサッキーウイルスA6型が流行した時に多いようです。基本的には経過観察のみで新しい爪が生えてきますが、変形を残してしまう可能性もあります。
急性出血性結膜炎
突然の強い目の痛み、異物感があり、目の充血や目やにも出てきます。目以外の症状としては発熱、咳、鼻水、頭痛など夏風邪の一般的な症状も出ます。通常は約1週間程度で症状が改善します。
潜伏期間
3~6日間、急性出血性結膜炎のみ24~72時間。
治療
原則対症療法を行います。
痛みや熱に対して、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)を使用します。
目の症状に対して点眼薬を使用する場合があります。
急性出血性結膜炎以外は解熱し、咳と鼻水の症状や食欲が改善していれば登園は可能です。
急性出血性結膜炎は症状が改善した後に再診して頂き、診察して感染の恐れがないと判断された場合に登園可能です。
合併症
脱水症
→口の中の痛みで経口摂取が低下した場合に見られます。
熱性けいれん
→高熱になりやすく、痙攣を起こしやすいウイルスとして知られています。
再診の目安
受診後2日経過しても症状の改善が見られない場合や口の痛みで水分摂取が低下した場合は、また急性出血性結膜炎と診断された場合には症状改善した段階で再診をお願いします。