急性胃腸炎
この病気は、主にウイルス感染によって起きる嘔吐、下痢、腹痛症状を主体とする感染症で、冬季に流行する傾向があります。急性上気道炎(いわゆる風邪)と並んで小児科ではよく見られる疾患ではありますが、多彩な症状経過があり、またあくまでも他の病気で嘔吐していないことが前提となるため、小児科外来診療で最も診断が難しい病気だと思っています。
主な症状
嘔吐、下痢、腹痛が主にみられます。
時に発熱、頭痛の症状がみられることもあります。
典型例では最初の24時間程度で嘔気、嘔吐症状が山場を越えて、翌日から下痢症状が目立ってくる経過をたどります。
検査
症状に応じて腹部超音波検査を行う場合があります。
治療
経口補水療法
経口補水液や母乳、ミルク、リンゴジュースなどを少量頻回に飲ませることで水分、塩分、糖分を補給して対応します。少量頻回とは、1回に体重当たり1mlくらいから、つまり体重10㎏のお子さんでは10mlを5~15分ごとに与えます。2時間程度嘔吐なく飲めたら、量を倍に増やし、段階的に1回量を100~200mlまで増やしましょう。嘔吐初日は水分と糖分が取れていたら良しとします。翌日を目安に徐々に固形物を食べることにチャレンジしていきましょう。
制吐薬
吐き気止めの内服薬、坐薬がありますが、効果は限定的なため希望があった場合のみ処方を行います。
- ほとんど場合にウイルス感染が原因のため、抗菌薬(抗生物質)は効果がありません
再診の目安
受診翌日になっても嘔気、嘔吐が改善しない場合や血便が出る、腹痛症状が強くなる場合には再診をお願いします。
合併症
脱水症
嘔吐2日目になっても水分摂取が進まなければ、点滴が必要な脱水状態になることがあります。
腸重積症
イチゴジャムのような血便がみられ、時折不機嫌になったり泣いたりしながら、嘔吐が長引くことが特徴です。高圧浣腸などの処置を要するため疑った場合には総合病院に紹介を行います。
虫垂炎
直接の合併症というよりもよく似た症状が出る病気です。
抗菌薬治療や手術が必要になるため、疑った場合には総合病院に紹介を行います。